いつもの。
ラトヴィアの図書館
ラトヴィアの図書館吉田右子(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/4798073830
バルト三国の1つであるラトビアの図書館事情について。ソ連とナチス・ドイツによって繰り返し占領に遭い、ラトビア語と文化の弱体化を克服するため図書館をどのように立て直していったか。
ラトビア語を守るためラトビア語を唯一の国家語と規定しつつも、図書館には実際の話者数に配慮しロシア語・ウクライナ語・ポーランド語などの資料が用意されている。 作家が図書館を訪問するイベントが文化プログラムとして日常的に行われている。 パンデミックによって電子書籍やデジタルサービス支援などのIT化が大きく前進したなどなど。
占領という歴史が図書館のあり方にここまで大きな影響を与えるのかと興味深く読んだ。「言語文化を守る砦」として図書館の存在感がここまで強くあるのはラトビアならではなのだろうと思った。
世界目録をつくろうとした男――奇才ポール・オトレと情報化時代の誕生
インターネット出現以前の時代に、あらゆる知的財産をカタログ化しようとした男の人物伝。
世界中の出版物(書籍だけでなく新聞やポスター、パンフレットまで)の情報を索引カードを用いて収集する巨大な目録を作り続け、国際十進分類法の考案や国際書誌学会(IIB)の設立を行った。 2度の世界大戦の勃発によって目録の編纂事業は暗礁に乗り上げ、第二次世界大戦が終わる前に死去。目録も散逸し忘れ去られていたが、インターネットの普及以降、WWWを予見した人物として新ためて注目されるようになった。
インターネットの未来について予見できるかと読み始めたがそちらについて成果は得られず。とはいえ、アナログな環境でインデックスを作ろうとするとどのような活動になるのかのヒントは得られた。
「家庭料理」という戦場 暮らしはデザインできるか?
「家庭料理」という戦場: 暮らしはデザインできるか?久保明教(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/4910108017
1960年代から2010年代における家庭料理をめぐる諸関係の変遷を追跡する人類学的視点の本。
各年代を代表する料理研究家の言説を見ながら、家庭料理として作られるものがどのように変遷していったかを俯瞰的に眺められる
1960~1970年代に確立された、手作りを重視する「正しい家庭料理」。1980~1990年代の「簡単で美味しい時短」という脱構築。2000年以降の「我が家の味」という圏域から離脱して暮らしを自由にデザインしていこうとする試み。それぞれの時代の在り方と、各時代に活躍した料理研究家の仕事が見られ面白かった。
間違いだらけの電力問題
間違いだらけの電力問題山本隆三(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/4863102844
各国の発電事情と電力供給にまつわる問題について。
そもそも発電の仕組みはどうなっているのかから始まり、日本の燃料調達はどうしているのか、脱炭素社会の実現は現実性があるのか、再エネは発電コストにどの程度の影響を与えるのかなど、地に足のついた視点での電力に関する基礎知識が書かれている。
個人でどうこうできる範囲ではないので、電気代を下げたいなら原子力発電のある地域に引越すくらいしかなさそう。
日本の電力消費量が落ち込んでいる。また、電力自由化によって発電設備の新設がされなくなったので、安定供給はさらに難しくなるだろうという目算が書かれている。UPSは家に置いてあるけれども、先々のことを考えるとポタ電の導入とかも考えておくべきかもな……と思った。