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2023年に読んで良かった7冊の本

年末なので、2023年に読んだ中で良かった本をまとめておこうという記事。

今年も、年内に読んだ本の中から特に良かった本を7冊紹介します。

サムネ

言語はこうして生まれる

thumb 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム― モーテン・H・クリスチャンセン(著),ニック・チェイター(著),塩原通緒(翻訳)&0その他https://www.amazon.co.jp/dp/B0BGXDM9F4

言語はジェスチャーゲームが由来となってできたという説をベースに、言語処理に関する研究や言語誕生に関する歴史、子供の言語獲得に関しての考察などを述べていく本。

言語の成り立ちであったり、新語の生成といったものに興味があるならオススメ。

チョムスキーの普遍文法やFOXP2という言語遺伝子に対する反論、自然発生する言語秩序、他人の足跡をたどることで子供は言語を学習する、など。

言語を数理解析する姿勢への批判、コミュニケーションの道具としての文脈で見直そうというというメッセージを感じた。

昨年の7冊にも入れた『心はこうして創られる』も良かったので、今後もニック・チェイターの著書を見かけたら読んでいきたいところ。

会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか

thumb 会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか (文春e-book) ニック・エンフィールド(著),夏目大(翻訳)https://www.amazon.co.jp/dp/B0BZD3C3XY

こちらも言語に関する本。会話する際に発せられる「え?」「あー」「えーっと」という無意味そうにみえる言葉にどういった意味があるのかを、会話に関する研究を通じてみていく本。

これまで言語学で研究の対象とされてこなかった、対話における言葉にならない言葉がいかに重要であるかを詳説している。

お互いが交互に会話をするということがいかに高度なことであるか、返答の応答速度の違いや辞書に載らない単語が会話にどう影響しているのかといった研究を見ていく。

『取材・執筆・推敲』

thumb 取材・執筆・推敲――書く人の教科書 古賀史健(著)https://www.amazon.co.jp/dp/B08W9MXH59

ライターが原稿を作り上げるまでの流れについて書いた本。

小手先のテクニックではなく、原稿を書き上げるための心構えが掛かれている。

執筆とは「取材の翻訳」、文章構成の考え方を桃太郎の絵本から学ぶ、推敲は過去の自分への取材、などが特に印象に残っている。

宇宙になぜ、生命があるのか

thumb 宇宙になぜ、生命があるのか 宇宙論で読み解く「生命」の起源と存在 (ブルーバックス) 戸谷友則(著)https://www.amazon.co.jp/dp/B0CBJX2FHL

インフレーション宇宙論と生命が発生する確率について。

天文学・宇宙物理学の視点から、最初の生命がどのように誕生したのか、それはどのくらいの確率で発生し、実際に起こりうる程度の確率に収まるのかを考察していく。

宇宙で生命が発生するための諸条件が起こる確率から、もっとも近所にいる宇宙の生命体がどの程度遠くにいるのだろうかと考えていくのがとても楽しい思考実験でもある。

宇宙でいう138億光年というのが地球だと5kmくらいかも、と比べられていたのが特に印象的。

地球外生命の探査に実際どのくらいの望みがあるのかという点でも参考になる一冊かなと。

創造性をデザインする

thumb 創造性をデザインする: 建築空間の社会学 牧野智和(著)https://www.amazon.co.jp/dp/4326654341

空間設計がユーザに与える影響、建築の社会学について。

学校建築・オフィスデザイン・公共空間のデザインを見ながら、空間設計がヒトのふるまいをどう促しているかを見ていく。

学校建築が過去どのような批判にさらされ、現在どのように変化しているのか。同じ視点でオフィスデザインをみたときにどのような施策が打たれているのか。

現状は、"個々人が何をどう感じ、どう考えるかが尊重されて強い統制が避けられ、「創造性」へとつながっていくような自発的ふるまいが促されるという働きかけ" を重視して空間が設計されている様子。

会社員の1人としては、流行りのクリエイティブ・オフィスなるものがどういった理論武装をして構築されていったのかを興味深く読んだ。

万物の黎明

thumb 万物の黎明~人類史を根本からくつがえす~ デヴィッド・グレーバー(著),デヴィッド・ウェングロウ(著),酒井隆史(翻訳)&0その他https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHMCH1DH

先史時代の人類が平等で無邪気な存在であるとか戦争好きな存在といった先入観・誤解を取り除くために、考古学と人類学の知見とともに格闘していく本。

人類が穀物を発見したため、農耕を主とした定住生活となり、人口が増えて都市となり文明ができた。というのが、これまでの常識であったが、これはどうやら現代からみた安直なストーリー付けであり、そこの対応関係はかなり薄そうだという論が展開される。

『銃・病原菌・鉄』と『サピエンス全史』を読んだあとに読むべき本。その2冊に対して専門家が訂正していく本という趣もある。

人類は農耕を始める前から人類だったのだなという感想と、もうすこしこの時代の発見にふれる機会が増えるといいなという感想を持った。

ハッピークラシー

thumb ハッピークラシー――「幸せ」願望に支配される日常 エドガー・カバナス(原著),エヴァ・イルーズ(原著),高里ひろ(翻訳),山田陽子(解説)&1その他https://www.amazon.co.jp/dp/4622095491

ポジティブ心理学への批判。「幸せ」を強要する社会がいかにして作られてきたのか。

幸せを追い求めさせるビジネス。政治や企業と結びつき隆盛したポジティブ心理学。労働者に幸福を求め、苦しみを自業自得だとする構造。社会病理や社会不安の感情的構造を個人の努力不足に帰着させてしまうロジック。そういった社会に対する批判がされていく。読むときはなるべくメンタルが強いときに。

この本を読んで、自身が幸福であることを喧伝するのは社会を切り抜けるライフハックとして使えそう。と思うと同時に、「市民、幸福は義務です」というセリフがフィクションでなくなってきているなと末恐ろしいものを感じた。

後記

来年も良い本に出合えるといいですね。