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2022年に読んで良かった7冊の本

年末なので、2022年に読んだ中で良かった本をまとめておこうという記事。

今年も、年内に読んだ本の中から特に良かった本を7冊紹介します。

サムネ

猫に学ぶ―いかに良く生きるか

thumb猫に学ぶ――いかに良く生きるかジョン・グレイ(著),鈴木晶(翻訳) .https://www.amazon.co.jp/dp/462209049X

猫から生きる哲学を学ぶという一見かわいいテーマ。ただし、しっかり哲学の本。

「人間がなかなか手に入れられない幸福が、猫には生まれつき与えられているのだ。(p.6)」と、幸福・道徳・愛・死について、いかに人間が迷走しているか、そして猫のそれがいかに充足しているかを哲学者が語る。

猫にとっては人間から学ぶ物は何一つないが、人間は猫から良い生き方についてのヒントがもらえるだろう。そういったのに興味がある人はぜひ。

「人生は物語ではない」、「眠る喜びのために眠れ」は最高に好きなフレーズ。  

新基礎情報学

thumb新 基礎情報学西垣通(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/B09KTJRNMB

そもそも情報とは何なのか、から情報を考察する哲学本。

情報科学におけるシャノンの理論を前提とする情報と、社会情報学で扱う情報の断絶。生命と機械の違い。一神教の考え方をベースにしたトランス・ヒューマニズム。そして、トランス・ヒューマニズムの行きつく先にある『ホモ・デウス』を遠ざけるには。

スチュアート・カウフマンの本読んでるとよりしっくり来やすいかも。あと大学のときに符号理論の単位をちゃんと取っておいて良かったね、ともなった。

『ホモ・デウス』を読んだときに違和感があり、トランス・ヒューマニズムへの相容れなさも感じていたが、この本を読んで「神道や仏教が考えかたのベースにあると、そりゃ引っかかりがあるよね」と納得できた。

心はこうして創られる

thumb心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学 (講談社選書メチエ)ニック・チェイター(著),高橋達二(著,翻訳),長谷川珈(著,翻訳)&0その他 .https://www.amazon.co.jp/dp/B0B5QNGCHM

世間一般の『心』に対する概念を崩していく本。

心から考えや感情が生まれるのではなく、自分の脳がその場で出てきた考えや感情に合わせて心を創り出している。心には表面しかない、心の深みなるものは作り話に過ぎない虚構だと述べる。

無意識、深層心理、内的世界はなく、そういった概念が脳の能力を過小評価させる原因であるとのこと。

心に対する考え方がガラッと変わってしまうタイプの本で、その時その時に脳が心を創り出しているだけ、という直感的ではない概念だが読んでいくと納得できていく。

地球温暖化で人類は絶滅しない

thumb地球温暖化で人類は絶滅しない 環境危機を警告する人たちが見過ごしていることMichaelShellenberger(著),藤倉良(翻訳),桂井太郎(翻訳),安達一郎(翻訳)&1その他 .https://www.amazon.co.jp/dp/4759821716

環境活動家が環境破壊と貧困の固定をいかに進めてきたかについて。自然を守るには高密度なエネルギー利用と経済発展が必須として、真逆に政策を進めるとどうなるのかを解説する。

環境アラーミズム(環境問題の不安をあおる人)が与えてきた害についての部分でそこそこメンタルが削れるので、体力がある程度あるときに読むのが吉。

プラスチックがウミガメを救ってきた、発展途上国に工場ができると森林が守られる、放し飼いという環境破壊、やせたホッキョクグマという寓話、再生可能エネルギーという偽物の電気、などなど。

有機・低エネルギー・再生可能エネルギーの世界は自然環境にとって今より悪い、という考えは記憶しておきたい。環境について語る中で原子力を推した本を初めて見た。

 

宇宙人と出会う前に読む本

thumb宇宙人と出会う前に読む本 全宇宙で共通の教養を身につけよう (ブルーバックス)高水裕一(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/4065243114

宇宙で知的生命体と話すとなった場合に、地球人である自分のことをどう説明するか。

常識と考えていることが地球の外に出ると常識でなくなるのでは?別の星の知的生命体にも共通する知識なのだろうか?というの考えることで、地球に住むヒトという狭い枠から視点をすこし広げられるようになる本。

地球の場所をどう説明するか、太陽が2つある星のカレンダー、左右対称な生物、10進数、自然数は自然な数なのか、光と宇宙のはじまり、時計回り、などなど。

テクノロジー・ウォッチング

thumbテクノロジー・ウォッチング―ハイテク社会をフィールドワークする (新曜社認知科学選書)D.A.ノーマン(著),岡本明(翻訳),藤田克彦(翻訳),佐伯胖(翻訳),八木大彦(翻訳),嶋田敦夫(翻訳)&2その他 .https://www.amazon.co.jp/dp/478850460X

こちらは30年前に書かれたUXに関する議論の本。ドナルド・ノーマンの古い本を今年これ含め3冊読んでた。

子供の劇よりも劇を撮影するためのカメラの操作に夢中になってる親御さんの描写から始まり、照明盤の下に書かれた注意書き(暗がりなので読めない)や券を入れるところを間違えやすいので説明のための駅員が横に立っている自動改札機、ハイテクじかけが要求してくる日常的雑用、リアルタイムな処理と心理的時間、コックピットの中での認知科学などなど。

デザインが悪くてこういう戸惑いに遭うことよくあるよね、といまでもあるあるネタとして使えそうな話が多い。大昔の本なのだが内容が全然古びてない。ということは世の中の改善があまり進んでないということでは?

来年新しいドナルド・ノーマンの本が出るらしい。  

ソフトウェアアーキテクチャの基礎

thumbソフトウェアアーキテクチャの基礎 ―エンジニアリングに基づく体系的アプローチMarkRichards(著),NealFord(著),島田浩二(翻訳)&0その他 .https://www.amazon.co.jp/dp/4873119820

ソフトウェアのアーキテクチャを決める際に考えることについて。

これさえ読めばなんとかなる、というよりは各アーキテクチャの利点欠点と、アーキテクチャ決定前後にやることのリストが書かれた本。

アーキテクチャを決める必要がでてきたときに、「いま考えてるもののほかにマッチしそうなアーキテクチャがないかな」とぺらぺらするのが主な使い道になりそうな感じがする。

とはいえ、アーキテクチャの選定はトレードオフだらけなので、どのアーキテクチャが良いかは場合による。

どんなアーキテクチャが考えうるかという知識も大事だが、どうしてそれを選んだのかを説明するスキルも重要で、この本でも説得方法について紙面を割いている。

システムの要件定義に関わるなら読んでおいてもいい。とはいえ、このあたりのことを天性の勘でやっちゃう人もいそう。

後記

今年の読了は68冊。来年も良い本に出合えるといいですね。