いつもの。
ハッピークラシー
ポジティブ心理学への批判。「幸せ」を強要する社会がいかにして作られてきたのか。
幸せを追い求めさせるビジネス。政治や企業と結びつき隆盛したポジティブ心理学。労働者に幸福を求め、苦しみを自業自得だとする構造。社会病理や社会不安の感情的構造を個人の努力不足に帰着させてしまうロジック。
この本を読んで、自身が幸福であることを喧伝するのは社会を切り抜けるライフハックとして使えそう。と同時に、「市民、幸福は義務です」というセリフがフィクションでなくなってきているなと末恐ろしいものを感じた。
宇宙になぜ、生命があるのか
宇宙になぜ、生命があるのか 宇宙論で読み解く「生命」の起源と存在 (ブルーバックス)戸谷友則(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/B0CBJX2FHL
インフレーション宇宙論と生命が発生する確率について。
天文学・宇宙物理学の視点から、最初の生命がどのように誕生したのか、それはどのくらいの確率で発生し、実際に起こりうる程度の確率に収まるのかを考察していく。
神に頼らず宇宙で生命が発生するための条件を考察していく流れが面白い。
地球外生命の探査にどのくらいの望みがあるのかという点でも参考になる一冊かなと。
索引 ~の歴史 書物史を変えた大発明
索引 ~の歴史 書物史を変えた大発明デニス・ダンカン(著),小野木明恵(翻訳) .https://www.amazon.co.jp/dp/4334100317
索引についてを書物史から見ていく本。
アルファベット順がスタンダードになるまで。索引・目次は巻物形式では機能しない。写本で書き写すときにページ数がずれる。皮肉たっぷりな索引。優れた索引と機械的に出力された索引。などなど。
普段意識しない索引に関するエピソードを通じて、現在どのように情報が引っ張られてきているのかに意識を向けることができた。
線状降水帯 ゲリラ豪雨からJPCZまで豪雨豪雪の謎
線状降水帯-ゲリラ豪雨からJPCZまで豪雨豪雪の謎-小林文明(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/B0CGL91TV3
天気予報で言及されるようになった線状降水帯の位置づけとメカニズムについて。
メソスケールと呼ばれる数km~数百kmのスケールでの線状の降水帯が線状降水帯と呼ばれていて、気象の専門用語としても定義されているようす。
過去にはテーパリングクラウドやにんじん状の雲と呼ばれていたとのこと。
バックビルディング型の積乱雲列を狭義の線状降水帯と呼ぶのが良い、と書かれていた。
竹取工学物語
竹取工学物語 土木工学者,植物にものづくりを学ぶ (岩波科学ライブラリー)佐藤太裕(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHY55B9H
土木工学者の視点で竹や植物の構造を考察する、雑誌での連載をまとめた本。
竹の節と構造力学、維管束の配置と曲げモーメント、より高くなるには円錐と円柱のどちらがよいか。
竹のような身近なものから力学を学ぶという内容で楽しく読めた。
脳がゾクゾクする不思議
ASMRを複数の科学者の視点から科学的に解明しようとする試み。
ASMRとは何かから始まり、経験記憶から触覚への刺激を錯覚するのでは。クロスモーダルな情報が強調された反応では。感覚の情報補完なのでは。とそれぞれの説が展開されていく。