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2022年3月に読んだ本

いつもの。

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ソフトウェアアーキテクチャの基礎

thumbソフトウェアアーキテクチャの基礎 ―エンジニアリングに基づく体系的アプローチMarkRichards(著),NealFord(著),島田浩二(翻訳)&0その他 .https://www.amazon.co.jp/dp/4873119820

アーキテクチャを決める際に考えることについて。

これさえ読めばなんとかなる、というよりは各アーキテクチャの利点欠点と、アーキテクチャ決定前後にやることのリストが書かれた本。

 

どのアーキテクチャが良いかは場合による。最善なアーキテクチャを狙うよりも、最悪でないアーキテクチャを狙うのがよいというのはなるほどなと。

アーキテクチャの選定はトレードオフだらけなので、どんなアーキテクチャが考えうるかという知識も大事だが、どうしてそれを選んだのかを説明するスキルが重要に思えてる。

 

給料はあなたの価値なのか

thumb給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解くジェイク・ローゼンフェルド(著),川添節子(翻訳) .https://www.amazon.co.jp/dp/B09RZG8KR1

給料の決まり方に関する誤解について。

成果主義への過度な期待、スリム化と経費削減への移行、労働組合の不在など。

仕事の成果によって給料が決められるべき、と雇用主・従業員どちらも考えている(とアンケートからわかる)が、仕事の成果のとらえ方は個人によって異なるので、結局は成果の決め方・計測の仕方を誰が決めるかという権力の問題であったり、同業他社の決め方を模倣しようという話になってしまう。

 

この本では、権力・慣性・模倣・公平性の4つで給料が決定する。そして給料の額に個人の成果は反映させるべきではないとしている。

 

災害から家族と自分を守る「災害心理」の基礎知識 

thumb災害から家族と自分を守る 「災害心理」の基礎知識【電子版】野上達也(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/B09FNYWS2Q

災害発生前後の心理と行動傾向について。引用文献がしっかりと並んでいる良書。

逃げ遅れがなぜ起きるのかから始まり、発生時のパニック・発生後の犯罪増加イメージとそれが誤ったステレオタイプであることを示すデータなどなど。

そもそも災害時にパニックが起きるというが、パニックとは何か、そんなものがあるとして実際に発生するのか、といったことを文献やデータをそろえて考察している。

 

これまで災害対策はプレッパーズを手本にしてきたのだけども、災害起きても被災者の倫理観は平常時と同じ、ということを前提にするとやりすぎ感があるなと思い始めた。

 

あと、よく聞く「正常性バイアス」、「この概念を扱う心理学系の研究(実験や質問紙などで正常化の偏見を検証している研究)は多くありません。」と書いてて、どうやらバズワードっぽい。

 

ガラスの歴史: 輝く物質のワンダーランドへの誘い

thumbガラスの歴史: 輝く物質のワンダーランドへの誘い田中廣(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/4863455070

「最古の人工素材」であるガラスの製造技法について5000年前から現在に至るまでの歴史を遡る本。

古代・中世における美術品としてのガラスの製法から始まり、技術革新による板ガラスの製造、高機能ガラスまでと幅広い。

特に後半のガラスの技術革新パートが個人的に興味深く、フロート式と呼ばれる液体の上にガラスを流して平らにする方法は、読んだ後に動画を見て大変面白かった。

 

空と宇宙の食事の歴史物語

thumb空と宇宙の食事の歴史物語:気球、旅客機からスペースシャトルまでリチャード・フォス(著),浜本隆三(翻訳),藤原崇(翻訳)&0その他 .https://www.amazon.co.jp/dp/4562059826

気球、飛行艇、旅客機、そして宇宙での食事について。

貴族が空を楽しむための気球、揺れず高級レストランと見まがうばかりの飛行艇、旅客機内での味覚の変化とコストダウン、そして宇宙食。

やはり加熱がネックになりがちな様子。密閉空間で火を使うと排気が大変なので、駅弁みたいな加熱方式からはじまり、電熱線でパウチをあっためたりしている(そうすると今度は機内の電力不足がという話になったり)。

 

そして飛行艇での旅が非常に優雅。現代の旅行にその選択肢が残ってないのが悔やまれる。

 

室内環境における微生物対策

thumb室内環境における微生物対策室内環境学会微生物分科会(編集) .https://www.amazon.co.jp/dp/4765525910 室内微生物について、検出法・測定法から発育環境、汚染対策などについての解説。

室内微生物の基礎知識を学会が編集しまとめたもの。研究室入りたての学部生向けに編纂されたであろう内容で、門外漢の私でもわかりやすい。

分類や検出、解析をどのように行っているのかや、オフィスや美術館での被害と対策を特に興味深く読んだ。

 

環境のヒューマンファクターデザイン

thumb環境のヒューマンファクターデザイン: 健康で快適な次世代省エネ建築へ日本建築学会(編集) .https://www.amazon.co.jp/dp/475301763X ヒトにとっての快適性や満足感を向上させつつ省エネを図る建築について。

日本建築学会の著。ZEB(エネルギー消費量が正味0%の省エネビル)という考え方や環境性能評価システムとしてCASBEEやLEEDなどを紹介。

他にも『オフィスにおける執務者の着衣量の分布』とか『オフィスにおける要求温度の分布』といったデータや、クーリングルームを用意しておくと夏の帰社時に空調がむやみに下げられにくくなるよ、といった施策も紹介されてて面白かった。

僕とアリスの夏物語

thumb僕とアリスの夏物語 人工知能の,その先へ (岩波科学ライブラリー 309)谷口忠大(著) .https://www.amazon.co.jp/dp/4000297090

ボーイミーツガール的な小説と人工知能の解説を交互に行いながら、ロボットをどう開発しようとしているのかを述べる谷忠先生の本。

変わった構成だなと思ったが、子供のような少女との関わりという小説内の出来事をベースにすることで、解説がイメージしやすくなってる。

 

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