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なぜ、けものフレンズと『フリーエージェント社会の到来』(ダニエル・ピンク, 2002)が類似していると考えるのか

けものはいても のけものはいない

 

さて、けものフレンズの5話をみてきました。

アメリカビーバー・オグロプレーリードッグと一緒に家を作る話。

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アメリカビーバーの発想力と途中で出会ったオグロプレーリードッグの製作力を組み合わせて、ガチなログハウスを1話かけて作るのだけれども、その様子を見て思った。

 

「『フリーエージェント社会の到来』のフレンズ版だ・・・!」

 

 

『フリーエージェント社会の到来』とは

『フリーエージェント社会の到来』とはダニエル・ピンク著、2002年に出版された結構古い本ながら、2014年に新装版として再出版されるほど名著として名高い本。

 

 

で、この本に記されている事柄の1つに「ハリウッド方式」というのがある。

特定のプロジェクトごとに人材や小さな会社が集まり、プロジェクトが完了すると、チームは解散する、という仕事の仕方のことを、ハリウッド方式と呼び、フリーエージェントらしい考え方だと述べている。

 

プロとプロが特定の目的のために臨時的に集まり、作業をして、作品を作る。

5話のストーリーとかぶさらないだろうか。

 

フリーエージェントとしてのビーバーとプレーリー

設計が得意なフレンズであるアメリカビーバーは、小さな模型を作り、家の構造を考え、製作時に指示を行う。

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穴掘りや作業が得意なフレンズであるオグロプレーリードッグは、アメリカビーバーの指示を期待通りこなし、瞬く間に豪華なログハウスを作り上げてしまう。

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それぞれの得意とすることを生かし、目的を達成する。

そこに大企業のような組織は登場せず、個人と個人だけの少人数チームでゴールまでたどり着いてしまうというのが、2002年に出版された『フリーエージェント社会の到来』で示唆する未来だ。

 

 

さて2017年、『フリーエージェント社会の到来』が出版されてから15年がたった現在、実際にフリーエージェント社会は到来したのか。

この質問に答えようとするとき、主人公であるカバンちゃんが満を持して登場する。

 

 

オープンイノベーション活動支援者としてのカバンちゃん

この5話でのカバンちゃんの役割は何だったか。

アメリカビーバーとオグロプレーリードッグに共同作業を促したことだ。

 

家を作るための知識を持つ人と、家を実物として作り上げられる人を結びつけた。

同様のことが現実世界にも近年起こっており、オープンイノベーション((オープンイノベーションについては『オープンイノベーション 組織を越えたネットワークが成長を加速する』が詳しい))と呼ばれている。

自分の知識をより有効活用するため相乗効果を生みそうな相手と一緒にイノベーションを起こすことを「オープンイノベーション」と呼ぶ。

知識のある研究者と、実現できるベンチャーとが手を取り合い、新製品の開発やサービスの運用から得られた知見を論文として発表することが活発になってきている。

昨年の7月には経済産業省もオープンイベーション白書((https://www.meti.go.jp/press/2016/07/20160708001/20160708001.html))を取りまとめるなど、国内でもオープンイノベーションを促進させようとする動きがある。

 


カバンちゃんは「オープンイノベーション」を起こさせている。

欲しているもの同士をつなぎ合わせ、新たな価値を生み出す。

5話でカバンちゃんが行っていることは、さながらコンサルタント業だ。

 

得意なことが違うフレンズたちに共同で作業したらどうかとアドバイスするだけではなく、ビーバーさんとプレーリーさんの共同作業がうまくいくよう、サポートもしっかりしている。

 

2人のフレンズに自身の得意なことを自覚させ、得意なことに集中させる。

その特異な部分からより価値を引き出すために、「模型をつくってみれば」とアドバイスをする。

サーバルちゃんの「ふたりは どんなものがつくりたい?」というナイスな質問から始まったブレーンストーミングを具体的なアイデアとするために、ファシリテーション(会議の進行役)まで行っている。

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最終的には、土を運んだり掃除をしたりくらいしか、カバンちゃんのやることはなくなってしまうが、それはカバンちゃんが完成までの道がつくれるよう適切に誘導したからであり、コンサルタントとして優秀な証拠だ。

 

フリーエージェント社会の到来 

知識を持つフレンズであるビーバーさん。

現場作業の得意なフレンズであるプレーリーさん。

今回はムードメーカー役に徹したサーベルちゃん。

そして、みんなをまとめられる、考えるのが得意なカバンちゃん。

それぞれの得意なことを生かし、一緒に作業をして「たのしー」となるのが、けものフレンズ5話のストーリーであり、ダニエル・ピンクの『フリーエージェント社会の到来』である。

 

『フリーエージェント社会の到来』は2002年に出版された古い本ではあるが、2014年に新装版が発売されたときの宣伝文句は以下のとおりであった。

「これからの働き方が、ここにあります」

 

けものフレンズ社会の到来。

それぞれのフレンズが得意なことで「たのしー」と生きる社会。

わたしにはユートピアに思える。

 

 

けものフレンズは、人類の進化史((この記事に影響されて、私も考察してみたいと書きました アニメ『けものフレンズ』は人類史600万年を探求する - 本しゃぶり))だけでなく、ビジネストレンドすらも見出せる。

つくづく懐の深いアニメだ。

 

 

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