2022年5月に読んだ本

いつもの

人を賢くする道具

人間よりもテクノロジー側の要求に重点を置きすぎている問題について。機械と人間で得意な作業は異なるが、機械を正常に動かすために機械の要求に合うような仕事が人間の不得意なことにもかかわらず積み上げられている、という概略。原書は1993年。

 

UIデザイン必携

WebサイトやアプリのUI設計。かなりわかりやすくまとまっているので、参考書として投げるのにとてもよさそう。スマートテレビ上のアプリ設計に関する言及も多め。

目の見えない人は世界をどう見ているのか

 

目の見えない人が空間をどうとらえているのか、晴眼者とのとらえ方の違いについて。見えない世界は情報量が少ないが、視点に縛られないため空間を3次元的に把握でき、死角の少ないとらえ方ができてるのではないか、という考えが新鮮だった。

人類冬眠計画

 

冬眠研究の現状について。いまは哺乳類であるハツカネズミを人為的に冬眠できるようになったところ。冬眠とは何か、眠りを妨げずに眠っていることを知るにはから始まり、モデル生物での研究の始まり、これからの展望が描かれている。SFでない冬眠について知るにのに良い。

太陽系観光旅行読本

 

太陽系観光が一般的になった世界でツアー会社は各惑星をどのように紹介するだろうか、を書いた本。各惑星の気候やおすすめ観光スポットなどを紹介する。火星でのネットは忍耐が要る、土星の輪から取った氷でドリンクを冷やそうなどユニークな視点でサイエンス知れる。

太陽の支配

 

太陽の一生と人間との関わりについて。太陽崇拝や暦から始まり過去どのように観測してきたのか、そしてこれから太陽とどのように関わっていくのか。原著がちょっと古いっぽく訳注で最新情報がいくつか付け加えられている。

土 地球最後のナゾ

 

土の研究者の世界の土を探す旅と、その土を使って増える人口を養うにはどうしていけばいいのかについて。ポドゾルやチェルノーゼムといった地理の時間に学んだ単語がどういう土を指しているのか、豊かな土とはそもそもどんなものなのかが少しわかった気がする。

昆虫の惑星

 

興味深い虫の生態や能力、ヒトがいかに虫のお世話になっているかについて。『この世界にはヒト一人につき二億匹以上の昆虫がいるともいわれる』とはじまり、昆虫の生態系における影響や産業に与える影響などの解説の後に、その昆虫がいま激減しているとまとめられている。

奇想天外な目と光のはなし

 

動物や昆虫の目や資格や見た目の話。目の進化から始まり、有効視野に擬態、ヒトの視力の限界、季節によってかわるメダカの色覚、構造色の仕組み、光の順応等々、見た目とみることに対するいろいろな豆知識が書いてる。

 

2022年4月に読んだ本

いつもの



 

テクノロジー・ウォッチング

30年前に書かれたUXの議論。

子供の劇よりも劇を撮影するためのカメラの操作に夢中になってる親御さんの描写から始まり、照明盤の下に書かれた注意書き(暗がりなので読めない)や券を入れるところを間違えやすいので説明のために横に駅員が立っている自動改札機、ハイテクじかけが要求してくる日常的雑用、リアルタイムな処理と心理的時間、コックピットの中での認知科学などなど。

大昔の本なのだが内容が全然古びてない。デザインが悪くてこういう戸惑いに遭うことよくあるよね、といまでもあるあるネタとして使えそうな話が多い。

内容が古びてないということは世の中の改善があまり進んでないということでは? とも思えてしまった。

 

デザインと障害が出会うとき

デザインと障害の現状の隔たりと交差したときのクリエイティビティについて。

障害のためのデザインは目立たなさが追及されがちだが、障害をアイデンティティにする人や過去のプロトタイプを示しつつ、新たなインスピレーションを与えるものとして紹介する。

 

トコトンやさしいユニバーサルデザインの本 第3版

ユニバーサルデザインの概略。ユニバーサルデザインの7原則からはじまり、商品の例、提供者の考え方など。

ざっくり知るにはちょうどいい。コラムが朱背景に黒文字なのが読みにくくてちょっと気になりどころ。

 

となりのハト

ハトの豆知識本。読むと街にいるハトを見るだけで楽しめるようになる。

どこにでもいるように感じるくらい身近にいるハトがどういう経緯で日本にやってきて何を食べ暮らしてるのか、模様豊かなのはなぜか、最近減ってきた理由など。

ドバト(よく公園とかにいる灰色のハト)が飼育用品種であることすら初めて知ったので、伝書鳩はハトの帰巣本能を基にしたもので一方通行な通信であること、ハトの表面は粉でおおわれていることなど知らないことだらけだった。

読んでると実際の姿とか鳴き声とかが気になりはじめてしまい、Youtubeの履歴がハトで埋まってしまった。

 

無敵! のズボラルーティン

いかにして罪悪感なく家事をさぼるか。

やらないためにどうすればいいかを考えて、努力での解決でなく環境のほうを変えようという、合理的に家事を楽にするノウハウとか考え方が書いてる。

YouTubeにチャンネル( https://www.youtube.com/channel/UCaHZu01dnsFcqp0sCFTB7Rw/ )があり、これの総まとめ+αといった感じっぽい。

 

セックスと恋愛の経済学

恋愛と市場原理、そして性売買市場と公衆衛生について。日本と比べて爛れた国の話だが、マクロ経済学的変数の話をするときのネタとして面白い。

 

日本版 民間防衛

テロや戦争、災害や侵略などに対する知識とどう対応していくべきかについて。日本版というだけありJアラートやサリン、津波・地震などの自然災害など言及が詳しめ。

 

スイスの『民間防衛』を念頭に書かれた様子ではあるが、あまり内容はかぶってなさそうな雰囲気。ローカライズされた日本に住むうえでの追加情報として読むのがよさそう。

 

 

2022年3月に読んだ本

いつもの

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ソフトウェアアーキテクチャの基礎

アーキテクチャを決める際に考えることについて。

これさえ読めばなんとかなる、というよりは各アーキテクチャの利点欠点と、アーキテクチャ決定前後にやることのリストが書かれた本。

 

どのアーキテクチャが良いかは場合による。最善なアーキテクチャを狙うよりも、最悪でないアーキテクチャを狙うのがよいというのはなるほどなと。

アーキテクチャの選定はトレードオフだらけなので、どんなアーキテクチャが考えうるかという知識も大事だが、どうしてそれを選んだのかを説明するスキルが重要に思えてる。

 

給料はあなたの価値なのか

給料の決まり方に関する誤解について。

成果主義への過度な期待、スリム化と経費削減への移行、労働組合の不在など。

仕事の成果によって給料が決められるべき、と雇用主・従業員どちらも考えている(とアンケートからわかる)が、仕事の成果のとらえ方は個人によって異なるので、結局は成果の決め方・計測の仕方を誰が決めるかという権力の問題であったり、同業他社の決め方を模倣しようという話になってしまう。

 

この本では、権力・慣性・模倣・公平性の4つで給料が決定する。そして給料の額に個人の成果は反映させるべきではないとしている。

 


災害から家族と自分を守る「災害心理」の基礎知識 

災害発生前後の心理と行動傾向について。引用文献がしっかりと並んでいる良書。

逃げ遅れがなぜ起きるのかから始まり、発生時のパニック・発生後の犯罪増加イメージとそれが誤ったステレオタイプであることを示すデータなどなど。

そもそも災害時にパニックが起きるというが、パニックとは何か、そんなものがあるとして実際に発生するのか、といったことを文献やデータをそろえて考察している。

 

これまで災害対策はプレッパーズを手本にしてきたのだけども、災害起きても被災者の倫理観は平常時と同じ、ということを前提にするとやりすぎ感があるなと思い始めた。

 

あと、よく聞く「正常性バイアス」、「この概念を扱う心理学系の研究(実験や質問紙などで正常化の偏見を検証している研究)は多くありません。」と書いてて、どうやらバズワードっぽい。

 


ガラスの歴史: 輝く物質のワンダーランドへの誘い

「最古の人工素材」であるガラスの製造技法について5000年前から現在に至るまでの歴史を遡る本。

古代・中世における美術品としてのガラスの製法から始まり、技術革新による板ガラスの製造、高機能ガラスまでと幅広い。

特に後半のガラスの技術革新パートが個人的に興味深く、フロート式と呼ばれる液体の上にガラスを流して平らにする方法は、読んだ後に動画を見て大変面白かった。

www.youtube.com

 


空と宇宙の食事の歴史物語

気球、飛行艇、旅客機、そして宇宙での食事について。

貴族が空を楽しむための気球、揺れず高級レストランと見まがうばかりの飛行艇、旅客機内での味覚の変化とコストダウン、そして宇宙食。

やはり加熱がネックになりがちな様子。密閉空間で火を使うと排気が大変なので、駅弁みたいな加熱方式からはじまり、電熱線でパウチをあっためたりしている(そうすると今度は機内の電力不足がという話になったり)。

 

そして飛行艇での旅が非常に優雅。現代の旅行にその選択肢が残ってないのが悔やまれる。

 

室内環境における微生物対策

室内微生物について、検出法・測定法から発育環境、汚染対策などについての解説。

室内微生物の基礎知識を学会が編集しまとめたもの。研究室入りたての学部生向けに編纂されたであろう内容で、門外漢の私でもわかりやすい。

分類や検出、解析をどのように行っているのかや、オフィスや美術館での被害と対策を特に興味深く読んだ。

 


環境のヒューマンファクターデザイン

ヒトにとっての快適性や満足感を向上させつつ省エネを図る建築について。

日本建築学会の著。ZEB(エネルギー消費量が正味0%の省エネビル)という考え方や環境性能評価システムとしてCASBEEやLEEDなどを紹介。

他にも『オフィスにおける執務者の着衣量の分布』とか『オフィスにおける要求温度の分布』といったデータや、クーリングルームを用意しておくと夏の帰社時に空調がむやみに下げられにくくなるよ、といった施策も紹介されてて面白かった。


僕とアリスの夏物語

ボーイミーツガール的な小説と人工知能の解説を交互に行いながら、ロボットをどう開発しようとしているのかを述べる谷忠先生の本。

変わった構成だなと思ったが、子供のような少女との関わりという小説内の出来事をベースにすることで、解説がイメージしやすくなってる。

 

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