2021年7月に読んだ本

 いつもの

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坐の文明論

今月読んだ中でベスト。すわることに対する文化の違いについて。

すわり続けるのは健康によくないというが、それは楽にすわる方法を知らないからでは?という問題提起から始まる。

 

 

床坐民族と椅子座民族という座る文化の違いで身体感覚がどう違うのか、椅子座民族は長い歴史の中で椅子をどう成熟してきたかなどを見ていく。

椅子座民族のフランスや中国における椅子の種類や構造を事細かに解説していて、椅子の専門書としても読める。

すわり方の対比で人類史を見ていくようなスケールの議論が行われていて読み応えがすごい。

 

小さい頃から椅子で生活していると床に座れなくなるらしいが、床坐できるようにするためのトレーニングなども。

日本の都市 誕生の謎

地形から見る日本史。ブラタモリ好きな人におすすめ。

 

なぜ長岡京に遷都したのか、たった10年で平安京に再遷都したのか、地形から見る比叡山焼き討ちなどなど。

源頼朝が鎌倉に幕府を作ったのは、湘南ボーイの頼朝に都会の環境が合わなかったから説がとても好き。

他にも、徳川家康が天下取ったあと京都付近に城を造らずわざわざ僻地の江戸に戻って江戸城をつくったのはエネルギーである木材が京都付近に少なくなってたからではとか、晩年に静岡に移ったのは隠居ではなく交通の要所である静岡を落とされると積むからではとか。

 

日本史の本だが歴史上の人物は有名人くらいしか出てこない上、都市の維持や発展についてをメインに取り扱っていて、日本史の知識少なめでも楽しめる。

「理系」で読み解くすごい日本史

1つ上と同著者の本。日本史に出てくる技術について。

項目としては火焔型土器や日本刀、城郭や江戸の設計などなど。

なぜか「理系」という単語で技術の発展などを強引にまとめようとしていて、その部分は ? という感じだが、個々のトピックは雑学集としては面白い。

イネという不思議な植物 

米について。米の構造や稲の育ち方から始まり、田の開発や米に関する歴史など。

初めて知ったのが、もち米のもち性は潜性遺伝でうるち米と混じると餅にならない、というもの。丸いエンドウ豆としわのエンドウ豆を交配させると全部丸いエンドウ豆になるというメンデルの法則があるが、うるち米ともち米を交配させると全部うるち米になるのだとか。

 

他にも、種子を落として生息域を広げる稲の中で、たまたま種子を落とさない変異個体を見つけた結果稲穂として収穫できるようになったとか、ほかの作物と違って田んぼは塩害を起こさず連作が可能であるなどなど。

もっとディープに! カラス学

カラスを25年研究してきた人によるカラスの本。

カラスの嘴から始まり、五感や脳のつくり、生態にいたるまで幅広く深く解説されている。

嘴に感覚があり、表面は皮膚であること。中心窩が2つあること。数の識別や他者からの学習を行えることなど驚きが多かった。

ホモ・サピエンスが日本人になるまでの5つの選択 

アフリカで生まれたホモ・サピエンスが日本にたどり着くまでの道のり。

『サピエンス全史』の補完として読むといいかも。

アフリカ大陸からホモサピエンスが旅立ち、ユーラシア大陸でのネアンデルタール人との出会う。東南アジア経由で来た縄文人がメインの縄文時代。シベリア経由で来た弥生人が稲作で数を増やし、気候変動で数の減った縄文人を同化吸収した弥生時代。

海をたどってやってきた縄文人と山々を通ってやってきた弥生人が一緒になったので、古事記には海の神話と山の神話が混じってるという話が特に興味深かった。

我が半生を彩った昭和・平成の道具たち

昭和・平成前半に出てきた情報家電分野の道具に関するエッセイ。

ゼンマイやガリ版から始まり、カセット、パンチカード、ワープロ、パソコン通信など、それぞれの全盛期を通過してきた著者が、当時の様子を振り返りつつ語る。

似たような話は年次が上の人から飲み会の席で語られることがよくあるが、本としてまとまってるのはあんまり見たことなかったかも。

生きている化石図鑑

似た姿の祖先や祖先の近縁種が確認されている、いわゆる生きた化石と呼ばれる生き物を昔の姿と見比べていく本。

たとえばカブトガニが4億4千万年前の近縁種とどれだけ似た姿だったのかとか。

ネコは最初からネコの形をしていたよとか。美味しさと絶滅は関係なくて、おいしいイカも結構古くから生きてるとか。

現代語訳で読み直す『竹取物語』

竹取物語を原作に忠実な表現技法で現代語訳を試みてる本。

「けり」の表現であったり、登場人物の敬語表現などに詳しく注記が書かれたりしている。

古文も併記されてるので、読み比べやすい。

影の不思議 光がつくる美の世界

美術における風の使われ方や技法の紹介。

絵画の中に見られる影の表現とか、古い映画で影をどう演出につかっていたのかとか。

各々を2ページくらいで紹介してる薄い本で、さらっと読むのには良かったのだけども、あんまり対象読者がわかんないなって本だった。

 

 

他の月
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これからアプリ開発をはじめるときにどこから手を付ければいいか(就活中の情報3回生向け)

いま某大学で情報について学んでいる3回生から就活の相談を受けていて、その人から「これからアプリ開発をしていこうと思うが何から手をつけていいかわからない」と質問が来たので、送ったメモの転記。

 

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いきさつ

「いま大学もリモートワークで、就活の相談もままならない情報の3回生が友達の息子にいるので、ちょっと相談に乗ってあげてほしい」と父親から連絡来たので、1時間ほどZOOMをしました。

で、そのときに「情報出身でSIer系志望なら自作アプリとかあると結構アピールできるよ」とアドバイス。

情報系の学部出身の大学生がみんなプログラミングをバリバリ書けるというわけではなく、授業と研究以外でコードを書かなかったという人も多々います。なので、研究が本格的に動き始める前の就活シーズンだと、過去のプログラミング経験を聞いたときに「授業でJSPのWebサイトつくった」だけというレベルの人も普通にいます。

私も情報系の大学出身なのですが、FizzBuzz書ける人半分いるのかな?くらいの体感でした。どちらかというとサブネットマスクの計算方法とかビット演算をできる人のほうが多いのでは?

そんなわけで、「自作アプリ作っておくと面接のときにデモもできるし、コードについての理解も深まるので良いよ」とアドバイスしたのですが、後日 「アプリ製作についてまったくわからず、どこから手をつけていいかわからない。」とメールが来たので、ちょっとまとめて返信しました。

 

Web

正直、先方のスキルがあまり把握できてなかったので、レベル別に。

1. HTML・JavaScriptを書いたことがない

このレベルだと、まずはHTMLやJSの書き方をドットインストールで学ぶのがオススメ

前提知識が書いてあるものの、いったん無視して進めても大丈夫かな?という感覚。
わからないタグや関数はググればいいので。

 

作ったものはGitHub Pagesで公開。ついでにGitHubのアカウントもつくれるし、サイトの公開だけであればGitの知識無くてもいいので。

 

2. プログラミングが書ける

Reactのチュートリアルを一通りやってみる。React公式の三目並べをつくるチュートリアルはよくできてて、日本語で解説されてる上にステップバイステップで解説されてて良い。

Webアプリをしっかりとつくっていこうと思っている人には、このReactチュートリアルのページを渡しがち。なんちゃってプログラミング教室みたいなときはjQueryでお茶を濁すのだけども。

 

そして、このレベルならGitでバージョン管理までできると良いですね


3. クラウドでばりばり開発してると言いたい

ここは努力目標。

ReactのアプリをFirebaseにデプロイする

nodejsの知識が必要なので、ちょっとハードルはあがる。しかしながら、面接のときに「GCPでWebアプリデプロイしてます」とデモを見せれると出来そう感でてきますよね。

 

さらにログインやDB管理までできると、実現の幅が広がるのでつくれるものも増えます。

 

スマホアプリ(Android)

私も正直詳しくないですが、最近は Kotlin を使って開発することが多い雰囲気。

英語混じりではあるが、はじめはここからAndroid Studioを使ってサンプルアプリを作ってみるのが良いでしょうか

私が昔かじったときはAndroidのアプリをつくって公開するところまではこのページだけで行けた記憶

React Native や FlutterのようにAndroid/iPhone共にアプリを作れるものも。

iPhone向けはもっと詳しくないですが、Swiftとかでつくれるはず。

 

まとめ

上記を送って、「参考にします!」と返ってきました。

うまいことやってほしいところ。

2021年6月に読んだ本

いつもの。

今月はちょっと少なめながら全部いい本。じっくりと読み解いてたともいえる。

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選択と誘導の認知科学

認知科学のススメシリーズの1冊。人の選択に関わるバイアスについて。良書。


注意の張り紙はなぜうまくいかないのか、臓器提供のデフォルト効果をどう考えるか、ペプシ・パラドクス現象が起きるのはコーラよりもペプシのほうが味が説明しやすいからではなど、人の選択が持つ癖やその癖を本人がどう認識するのかについて。

 

この本がとても良かったので同じ著者の本を探してみたら、どうやらこの1冊しか単著ないっぽい(教科書とか協会の出版本に分担執筆はいくつかある)。とりあえずオープンアクセスの論文がいくつかヒットしたのでそっちも読んでみようかと。

 

食の文化史

1975年の食文化考察。

日本での肉、野菜、米、パン、牛乳などの扱いがどう変遷したかについて。

半世紀近く前に書かれた内容だが、その時点で米離れや正月のおせちへの飽きなどが言われてた様子。

知らなかったことが多々あり、雑学の本としても面白い。

 

情報社会の<哲学>

マクルーハンのメディア論とルーマンの社会システム論から情報社会を体系的批判する本。

哲学用語がバンバンでてくるため、読み解くのに時間がかかったが読んだ甲斐はあった。

情報社会の構成要素が人間ではなくコミュニケーションにあり、それ行うノードとして人間やロボットが置かれる。そしてシステムに寄与しない場合バッファとして外部に排除される。

『ホモ・デウス』に出てくるデータ至上主義を1個上のレイヤーから見てる感じがした。

 

「役に立たない」研究の未来

基礎研究の現状とこれからというテーマの座談会イベントをまとめたもの。

選択と集中はゼロイチと両立できない、科学の有用性についての議論はいつからなぜはじまったのか、など。

議論のタネになる、人にオススメしやすい本。

 

他の月

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